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小鮒草を染める
2025. 1. 31色を解くー黄色 金色 黄金色ー小鮒草コブナグサ誰が付けたか、葉の形、群れる姿が小鮒の群生に似ているから小鮒草。子供の頃、小川でよく小鮒の群生を見ましたが確かに。2023年に収穫乾燥保存してあったものを煮出しました。色素は褪せる事無く、落ち着いた綺麗な黄色に。小鮒草は『黄八丈』の鮮やかな織物で有名ですが、堅牢度も高そうで硬質な黄色に感じます。傾城小紫、伊藤小太夫紫が流行らせた紫と同様、古くは武家、大名の衣装が、江戸後期に浄瑠璃『恋娘黄八丈』で衣装に使われ、歌舞伎などにも町娘として華やかに多くの場面で飾られた事で、江戸中大流行になったとか。流行色が生まれる背景は、興味深いです。 -
日本橘を染める
2025. 1. 16色を解く−黄色 金色 黄金色−日本橘 タチバナ2019年、最初で最後の『日本橘染め展示会』を催していた所、吉武利文氏(橘研究家)と再会。入手を諦めていた日本橘、氏の紹介で戸田森林組合の長倉氏をご紹介頂き、それ以来毎年剪定された貴重な戸田の橘を分けて頂いています。四季折々の橘を染めましたが、やはりこの時期が橘の色素?にとっても、気温水質が丁度具合良いのか絹が綺麗に染まる気がします。橘のさやけき花は、文化勲章のモチーフに。500円玉の模様にも橘、橘。香りから原点回帰を促すブルースト現象。田道間守が常世国から天皇のために持ち帰った『非時の香果』、そして田道間守はお菓子の神様に。などなど、古代より日本文化を静かに深く繋いだ橘、吉武氏のお話は尽きません。葉の染色は緑味の黄色で香りは艶やか。枝は、淡い黄色で香りはつんっと強く、茎は、深い黄色で香りはまろやか。今、私の工房は橘の香りが充満中。気力、体力充電中。 -
クチナシを染める
2025. 1. 9色を解く−黄色 金色 黄金色 & プリン−梔子クチナシ今年は12月末まで、お世話になっている御寺様で収穫出来た梔子。紬地、オーガンジー、刺繍糸、絞布、平綸子裂、紋意匠裂等、染めやすいので色々と試してみました。染液は酸化しづらく?3日経ってもまだ綺麗な黄色が染められます。食材にも良く使われているのがわかる気が。と、そこにカスタードプリン。『花冠』主人松本栄文氏から、京都の知人の皆様へとグランプリを取られた出来立てホヤホヤプリンが届きました。美味い学生時代より、『食』で地域起こしをして来た松本栄文氏、屋久島から目黒、ここ10年は千葉の佐原、そして多摩地区と何店舗オープンしたか数え切れませんが、何時休んでるか分からない人。(たまに倒れてるが直ぐ復活してる)今年は久々に京都にお帰りあそばさせるとの事。大変楽しみです。 -
漆を染める
2025. 1. 4色を解くー黄色 金色 黄金色ー漆木の芯年末年始は、漆木(芯部分)染めで。12月に各地から届いた染織用草木は、漆、日本橘、櫨。地元京都で、梔子、小鮒草。どれも様々な色。漆木は、2024年11月に山形県長井市草岡森林様に伺い、日本漆総合研究会の蜂谷哲平先生(漆作家)が漆の木を剪定するからと伐って分けて頂いたもの。漆染の試作は、絹素材によりかなり異なり、生地は深い黄から黄土へ、刺繍糸は黄金色に。絞り染め後、更に京北の型染め作家赤坂武敏さんの元へ参ります。ご協力作家様各位、芯の部分は”かぶれ”ませからご心配無く。 -
小袖復元
2024. 12. 262024last京鹿の子絞振興協同組合事業−小袖復元の試み~数作品目となりますが、今回当組合に復元依頼を頂いた小袖は、『襷海松文様小袖』たすきみるもんよう大般若経の経帙(鎌倉時代/東寺蔵)に貼られた裂を参考に、(公社)京都染織文化協会様が『淡萠黄紋綾地柳桜文様袿』として昭和初期に制作されたものです。万葉集にも出てくる『海松−みる』。平安期の装束にもよく使われており、海藻の一種である海松は海の森ともいわれ、深い緑色で生命力を発し、松葉に似て古来より吉祥文様として好まれたようです。技法は現代でもよく見る『唐松絞り』ですが、この作品は、縫〆絞り、折縫い、浸染に一工夫入り、下絵型紙作りが要となります。