京絞り -際と余白の妙技-
絞り染め「京絞り寺田」

バッタもんのバッタもんー過剰な権利意識

2011. 12. 30

美術家 岡本光博

「ユーモアと自由 」

                     

                        バッタもんのバッタもん 

          

                     期間 2012年 4月10日(火)~22日(日)

                 

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                           場所 Gallery ARTISLONG

 

                           京都市中京区三条堀川通西入ル

 

                               075-841-0561

 

 

 

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                 岡本光博 http://bbpweb.web.fc2.com/

 

 

岡本氏がブランドバックを解体して作成した作品「バッタもん」は、2010年の神戸ファッション美術館の企画展において、ルイ・ビトン社のクレームにより、会期中に撤去され是非について新聞等々でも関西で話題になった。

 

彼曰く、我々の身の回りは、様々な著作物や何者かが登録した権利物で溢れ(肖像権、知的財産・・・)、権利意識の過剰な高まり、文化面へのマイナスに止まらず、社会にひずみを生じさせているように感じる。そのひずみを指摘し、気付かせてくれるのもまたアートの役割でもある。

 

「バッタもんのバッタもん」プロジェクトでは、一匹でも多くの「バッタ」の仲間を生み出すことを目標に「バッタ」の型紙を公開し参加者の誰もが自由に好きな材料や生地(どれほど過剰な権利意識のある意匠やロゴがあろうとも・・・)を使用して生まれた仲間たちをウエブで紹介してきた。

バッタの大量発生は”蝗害”いう災害でもあるのだが、「バッタもん」が大集合する本展は「ユーモアと自由」へと飛躍するための力強いメッセージでもある。

 

 

 

 

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 伝統工芸、染織の世界では明治時代に染織が幕府や藩の枠を超え産業化していく時代、特許庁設立と共に多くの個人の特許取得者が生まれた。  絞りでも京都では、上田善助氏(現在の㈱上田善)が手柄(日本髪の髪飾り)が使っている間に生地が伸びるところから中に金糸等の刺繍を入れて伸びを防ぎ商品化し実用新案を取得している。  

驚くべきは大正時代名古屋有松周辺の職人が特許を取った道具の数々、現代も多く使われる機械と称される道具達は今も現役で世界に向けて広がっている。

 

当時の職人・商人のアイデアはそれまでに誰も考えなかった特許取得に値する画期的な工夫と熟練から生まれた創造的な発明だった。 しかし最近我々の身近でも全てとは言わないが、多少の手順や表現方法の違いでやれ特許だ、実用新案だと申請し権利を主張するバカな詭弁者がいる。

 

 

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職方が減少しているこの時代、特に可能性が未知な若い 方々は先人の培った手わざや道具の創意工夫を謙虚に学び身につけていって欲しい。

特許庁など頼らなくとも何よりそれがかけがえのない神技に必ず進化する。

 

以前出張先の金沢の小料理屋で、魚料理も美味かったが、店のオヤジが手作りで改良したと言う機械で絞り出した生ビールが格別美味かった。

思わずその機械の特許は取ったかと言う我々の問いにオヤジは「特許を取ったら広まらない」とあっさり答えた。完敗!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回の「バッタもんのバッタもん」展には私を始め刺繍作家・森 康次氏、友禅作家の匠・木戸源生氏その他多くの染織家が参加している。

 

岡本氏には大変失礼な話なのだが、私が声をかけた中には「ユーモアと自由」という、響きのみに触覚が反応して参加されている方も若干・・・。それも又良しと奇作なバッタ君に免じて見逃して頂きたい。

 

 

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