丸善企画 ー京 の 百 帯 繚 乱ー
帯といえば・・・・
10月8日から静岡県の島田市で催される「島田大祭展」。 東京で親しくさせて頂いている長唄の吉住小貴三郎・小三文お師匠はんが参加され「日本三大奇祭り」に数えられる祭りで、まっこと奇妙な衣装を纏う。 平成18年10月上旬の大祭に出版社らと御供をしたが大変不思議な世界へ紛れ込んでしまった気がした。
大井神社の御祭神は三女神を祀り、江戸時代には「大井大明神」と仰がれ、川越制度で栄えた島田宿の氏神様として崇敬され現在に到っている。
大祭の最大行事は「神輿渡御帯祭供奉の行事」で大奴(結髪奴頭、紺の半纏、金襴の廻し、首からしごきをかけ、伊達帯を腰に巻き、左右に一間近い木太刀を差して帯を掛ける)行列が練り歩く。
一般に「帯祭り」の名でも知られ、その名は島田宿に嫁いできた女性が安産祈願を大井神社に祈願した後、宿場内に帯を披露していたものが、いつしか嫁の代わりに大奴が「女の命」である金襴緞子の丸帯を太刀に掛けて行列し披露するようになった。
現代、帯をいとも簡単に切断し、付け帯にされる方が増えている (多くは小売店 に薦められてだが)・・・・着装に手間がかかり過ぎ、好きな着物を着たくても、帯を締めたくてもメゲてしまう女性達には、「切 断」も致し方無し、と私も半ばあきらめ肯定してきた。作り手が職方が裏で歪む顔も無視して・・・・・。
しかし木耶ラ女史との出会いで考えが一変。 「改良枕」と言うものがあるではないか、枕も時代とともに思考錯誤され工夫して作られている。 古着思考の方はともかく、躊躇なく比較的新しい帯までも切断するのは、今一度ハサミを入れる前によくよく考えてほしい。 今回丸善では改良枕の使い方も披露する。木耶ラ女史の作品を大切に扱い、綺麗に早く着崩れず着て楽しむ術をぜひ学び、多くの人に伝えてほしい。
吉住一門をはじめ、関東の著名な長唄芸人が集うこの祭りは別名「長唄祭り」とも言われ、長唄に合わせ屋台(山車)の上では本格的な衣装を付けた子供達の「上踊り」が各町内で夜遅くまで披露される。
この日・・・・大祭で屋台に乗り、舞台と沿道の観客を繋ぎ・結び・和やかに舞った踊・心情を忘れずに、優しい良い女子に育って欲しいと切に願う。
第参街上踊 平成18年 10月